2009年 05月 13日
かなり嬉しいこと |
渡辺友規さん(6ゼミ卒業生)の写真展が開催されます。
6/2(火)〜8(月) 10:00〜17:00(最終日は16:00まで)
新宿 ニコンサロン 新宿エルタワー28階ニコンプラザ新宿内
ギャラリートーク6/6(土) 13:00〜14:00
昨年度制作した「アートをつくる2009ドキュメント」ではCHIPSの生い立ちについても触れたが、その創設期に最大の活動量で打ち込んでくれた学生の話をしたい。
彼は、私が千葉大に赴任した当時2学年で、西千葉の壁画制作や銀座ギャラリーQでのCHIPS展においても活躍している。そして、その年のゼミ決定の時期に際して私のゼミを選んだ。卒業制作においても斬新な作品制作し展示方法についても趣向をこらしていたことが思い出される。さて、この度その彼が個展をすることとなったのである。ここまでの道のりが長かっただけに、本人にはかなわないだろうが、私も大きな感動をもってそれを受けとめた。
学生時代から痛快で骨太な行動力には周囲を魅了するものがあり、それらは当然、彼の写真作品にも反映されているに違いない。
数あるエピソードから少し紹介すると、ある時本人から「せんじょうカメラマンになるのでしばらく日本を離れます」と言われ、いくら骨太でも危険過ぎると私が早合点したことがあった。良く聞くと「戦場」ではなく「船上」ということで正直胸を撫で下ろした。本人が言う通りしばらく音信不通となるが、あるとき船から撮影した(当然だが・・)波を撮った写真とともに短いメッセージが届いた。たしか「船から見える360度すべてが水平線で、この船一隻しかない見えません。」といった内容だったと思う。立てる自分の足下となる船の甲板もその下は深い海といった、今の自分の居場所と人生を重ね、その大テーマに向き合うことの不安感や、「写真」という領域で生きようとする自分の意志を自己確認しようとする本人の状況が端的に伝わって来たことを、今も新鮮に思い出すことができる。その後帰国し、しばらくすると「スペインに行きます。」と連絡があり、本当に行ってしまった。何故スペインなのかと聞くと「船から見えた木の生え方が気になったから・・」と言い、私としては「木の生え方だけでスペインか・・いつから植木屋さんになったのか」と思ったこともあった。いかにも彼らしい理由だ。しかし、その帰国後、「旅から足袋に変えて働いています」と連絡があり、事実、彼は植木職人として働いていた。それからまたしばらく音信不通となっていたが、ふらっと「いま、楽器を使った仕事をしています」と近況を知らせてくれた。「・・・確かに音も出るし楽器には違いないが。」そして半年後、今年の正月には「展覧会を見てもらえそうです」と書かれた年賀状が舞い込んだ。人生に振り回されることなく、人生を振り回しているかのような彼の生き方は痛快だ。しかし実際は繊細な感覚の持ち主でもあり、音信不通だったこの時期の彼の思いにはさまざまなことがあったことは、突然やってくる手紙以上に伝わるところだ。まるで手紙の文章の行間を読むような感じだ。
とにかく、彼にとって大きな一歩となることを心から願い、今後の活躍を人一倍の期待をしている。ブログを見に来ていただいた方にも是非見に行ってもらいたい気持ちです。
by osamk37
| 2009-05-13 19:21
| アート