2009年 06月 03日
言いたいこと/改善点/ワークショップのアイデア |
前回の授業では、まず社会に対して伝えたいことが何であるのかを各自が考え、今回のWSの舞台となる「団地」についても、現在置かれている状況をあげ改善点として確認した。今日はその改善すべき点と、もともと彼らが社会に伝えたかった事柄の重なる部分を確定し、それに対して有効なワークショップのアイデアをできるだけ幅広く発想することが主題となる。
上記内容を確認後、『前回の授業以降考えたことがあれば・・』と投げかけると、TVで見た内容を一例として紹介してくれた学生がいた。それは、廃校になる学校で行なわれた地域住民参加型のワークショップで、写真を持ち寄り大きなモザイク的壁画を制作するというものであった。思わず「言いねー」と私をはじめ数人から声が上がった。そこで『では、どこが具体的に良かったのか』と質問し、一人一人に回答を求めた。ひとつの事例に対して、その優れたところを見つけようとする作業である。他者の良いところの、表面ではなく核となるところを客観的に察知する能力は、オリジナルのプランを立てるためにも必要なことだ。
<発表内容>
みんなが集まってひとつの大きなものを作るという制作の方向性/参加者がその地域に住んできた人たちなので他者の写真を見ても互いに記憶を共有しやすい/色付きの紙材料という点では出来合いの装飾紙と共通する点もあるが、写真には時間の蓄積がありその集積となる作品も意味合いが深くなる/写真のサイズがほぼ一定なのでモザイク画として制作するには画面配置しやすい/誰もが持っている点/制作上の作業内容が複雑ではないこと、など。意見のキャッチボールで思考力の回転数が高まったところで、今出された意見なども参考にしながらワークショッププランを考えることとした。
(的確な事例の発表があり、一人ひとりから発表された意見も明確で、驚くほど短時間に話しが深まるこの感じは大切にしたいところだ。また、自分から発表する雰囲気も増している。この段階まで、「口の字」型の机の配置で進めた後、「二の字」型の机の配置で2班に分かれてアイデアを出し合うこととした。ワークショップに期待するものやその方向性を全体で確認し、意見交換しやすい2班に分かれての活動となる。)
各班で企画が数点提案されその理由が交換されたこの段階で班員の半数を入れ替え、それぞれの班で話された事柄や着眼点の交換・確認を行なう。プランが急速に固定化し高める前に入れ替えをすることで、着眼点の幅を広げ深みのある構想を構築する意味でも、集団全体の意見内容の質を確保するためにも有効な方法である。団地を舞台とするワークショップは最終的には全体で2つ企画する。来週はNPOから人を招き、その活動の全体像や本プロジェクトの目的・具体的活動開催時期などを直接話してもらうことになっている。
by osamk37
| 2009-06-03 20:46
| 美術教育