と き : 9/6(日)〜11(金)
オープニングパーティ 9/6(日)18:00〜20:00
ところ : 枝香庵 中央区銀座3−3ー12 銀座ビル8階
050−3452−8627
多くの方に是非ご覧頂きたくご案内申し上げます。
制作者との懇談の場として今回は簡単なオープニングも行ないますので、そちらもお気軽にお立ち寄りください。
NEO CHIPS展も第4展となったが、今回、加藤ゼミにおける卒業生・修了生と在校生による合同展を試みるにあたり展示空間の拡大の点も含め、ギャラリー枝香庵での開催となった。場所は有楽町駅からほど近い3丁目のスリムなビルのペントハウス部分の8階と 8.5階。ユニークな空間で、銀座の隠れ家にしたいような魅力がある。また、屋上部分も広く、雨風に強く飛ばない立体作品であれば展示も可能なように感じる。
もともと私とギャラリーとの出会いは、路上から見上げた時に屋上に植物が見え、そのとき開催されていた展覧会がたまたま「ビアガーデン」展というもので、各階案内板の8階部分に貼られたそのダイレクトメールが、まるでレストランの案内のように見えてしまったという偶然なのである。完全に思い込んだ私は、ギャラリー会場に入っても、『画廊喫茶というのはあるが、やけに作品の多いビアガーデンだな』と思ったのを今でも覚えている。実際、展示スペースを通り抜けると屋上にはテーブルを配置したスペースもあり、そこではビールを飲んでいる人もいて、「本当にビアガーデンと思ったのですか」とビールを振舞われた。飲んでいた彼らは展覧会の出品作家だった。会場は決して広い空間ではないが、その空間的魅力から、近いうちに作品展示したいとそのとき決めた。
今回の展覧会テーマは「定点観測」で、「領域」(2007)「平衡感覚」(2008)に継ぐが、この3年間のテーマで共通して言えるのは、彼らが自己の価値基準や場について、制作を通しながら真摯に捉えようとしていることである。展覧会の規模に関わらず観客動員数を目的として、キャッチフレーズのような言葉をテーマとしている展覧会も多いなか、まず制作者がテーマについての作品を真摯に視覚化し、それをひとつの「たたき台」として鑑賞者に投げかけ、ともに考えようとする姿勢は、美術展のあり方としてもあるべき姿を形づくっていると実感するところだ。
テーマに対しては、新鮮なキーワードとして私も向き合うわけだが、困難なこの作業もパズルが解けるような快感を得るための引換券のように考えている。今回など特に自分の「価値」のページを増やせたように感じている。
定点観測とは、固定された視点から対象を観測することだが、観察以前に、定点の確保自体が大いなる課題と言える。地動説が正論となって以降は、地上にその定点を求めようとしてもその地上もまた、膨張する宇宙のなかで回転する移動中の一点なのである。つまり定点観測とは、定点と観測対象の2点間の関係性というよりも、定点を定めるにあたっての自己の立ち位置を含めた3地点の関係性を確認する三角測量、または、自己そのものを「定点」と置くことで、周囲360度との関係性を認識しようとすること、つまり自己の存在確認行為そのものかもしれないのだ。
(フライヤー内「定点観測」に対する各自のコメントより)
